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​クリスティアン・テツラフ 公演スケジュール (2024年10月)
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2024年10月7日(月)19:00開演

紀尾井ホール

SS席 10,000円 S席 8,000円 A席 5,000円 (全席指定)

*消費税込

【プログラム】

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 二短調 BWV1004

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005

クルターグ:「サイン、ゲームとメッセージ」から

バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ

チケットぴあ、イープラス、楽天チケットでの販売は終了しました。

10月3日(木)~5日(土)は以下のお電話にてチケットのご予約をうけたまわります。TEL: 050-6878-5760(10:00-18:00)
また当日券は、10月7日(月) 18時より販売します。

チケットお申込み *5月18日チケット一般発売開始

チケットぴあ https://t.pia.jp/(Pコード:270-482)

イープラス https://eplus.jp/

楽天チケット https://r-t.jp/  

電話予約 050-5434-7343(平日10:00~17:00)

〈2024年10月 公演日程〉

無伴奏リサイタル

2024年10月6日(日) 15:00 青山音楽記念館 バロックザール
2024年10月7日(月)19:00 紀尾井ホール

セバスティアン・ヴァイグレ指揮/読売日本交響楽団定期演奏会

2024年10月9日(水) 19:00 サントリーホール

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

テツラフの「無伴奏」―死と浄化と現実と   矢澤孝樹(音楽評論)

 ヴァイオリニストにとって、無伴奏ヴァイオリン・リサイタルは高峰にたった一人で登るようなチャレンジだろう。共演者なく、旋律楽器単独で最初から最後まで弾き切る困難さはもちろん、その最高峰にはヨハン・セバスティアン・バッハの6曲の《無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ》が必ず登るべき存在としてそびえ立っている。6曲の全曲演奏会も2夜に分けるなどして(時には一日で!)行われることしばしばだし、そうでなくとも、パガニーニの24の奇想曲やイザイの6曲のソナタに集中するような特別な機会でもない限り、ヴァイオリニストの無伴奏リサイタルからバッハが省かれることはまず滅多にない。

 クリスチャン・テツラフがこの度の来日公演で行う2度の無伴奏リサイタルも例外ではない。となると、今回のようにバッハ作品と他の作品を組み合わせる場合、ヴァイオリニストの意図が関心の焦点となる。傾向としては2つのパターンに大別されよう。ヴェストホフやビーバーら、「バッハ以前」の無伴奏ヴァイオリン曲を組み合わせるプログラム(バロック・ヴァイオリニストが中心)、そして「バッハ以後」の作曲家を組み合わせるプログラム。近年は楽器や弓を持ち替えて「前」も「後」も、というチャレンジもある。

テツラフのプログラムは「以後」の作曲家との組み合わせであり、バッハにインスパイアされた無伴奏曲が選ばれている。

 しかし、それだけではなさそうだ。本公演のフライヤーに掲載されているテツラフの発言には、バッハの無伴奏を弾くとき「死と絶望について語ることになる」とある。

 これは尋常ならざる発言だ。その意図するところはオリジナルのインタヴューを読み込む必要があるが、少なくともバッハの6曲の構成から推しはかられることはある。6曲のうち前半4曲は短調作品で構成され、それが《パルティータ第2番》の終曲チャッコーナ(シャコンヌ)で頂点に達するが、このシャコンヌには近年、バッハの最初の妻マリア・バルバラの死を悼む葬送曲を原曲としている、という説があるのだ。そして後半2曲は長調に転じ、そこには浄化と解放がある。

 テツラフは東京での演奏会の前半を《パルティータ第2番》《ソナタ第3番》で構成し、京都では《パルティータ第2番》の代わりにバッハの影響の色濃いイザイのト短調の《ソナタ第1番》を置く。この前半に「死と絶望」「浄化」のドラマが凝縮されていると感じずにはいられない。そこには、テツラフの盟友であるピアニスト、ラルス・フォークトが一昨年逝去したことの残響もあるかもしれない。一方で後半の共通曲目であるクルターグとバルトークは第二次大戦後という現代と地続きの作品であり、そこにテツラフは、バッハからの影響という以上のアクチュアルな意味合いを持たせていると感じられる。

2公演とも、個人そして普遍の「死と絶望と浄化」、聖と俗、そして歴史と現在が一本のヴァイオリンによって複雑に交錯するプログラムだ。バッハの無伴奏全曲を3度にわたり録音し、他の無伴奏曲も積極的に取り組んできたテツラフの、さまざまな演奏様式を確信に満ちて取り込み昇華した「声」が、そこに生命を吹き込んでゆく。

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